A RAcast's Memory



 今日もロビーで、一緒に行ってくれる人を探そうと思う。
ヒューマンやニューマンなら、彼らのことをもっと知りたいし、 アンドロイドなら、僕の気持ちを共有、理解してほしい。
とにかく、誰かと一緒にラグオルの探索に行きたいのだ。

 今まではずっと一人で探索をしていた。
 シティでディメイトやトリメイト、モノメイトまでも持てるだけ買いこんで、 その範囲内で、サバイバルな雰囲気を味わいながらラグオルを歩き回っていた。

 けど、つい数日前、僕はあるフォニュエールに出会った。
 その時僕はアイテムが底をつき、物陰に身を隠してエネミーの様子をうかがっていた。 傷ついた体に回復手段はなく、シティに戻ろうにもテレパイプもなく、 転送装置に戻るにもエネミーのごったがえす区域を通らなくてはならない。
 仕方ないからセコくエネミーを狙撃するしかないかと思っていた。
 すると、後ろから誰かが僕の肩をたたいた。
 ウォンドで僕の肩をつついたのは、変な帽子をかぶった、 僕より頭一つ小さい少女だった。

「こんにちは!」

彼女は笑顔ではっきりと元気よく言った。僕はちょっとびっくりして、

「あ、ああ、ども。」

と声に出した。

「だいぶ疲れてるみたいだね。一人じゃ大変でしょ?」

彼女はそう言うと、左手を前に差し出した。

「ハハ、そうだね。」

僕がそう答えたとき、彼女の手から光が放たれた。

 光は柔らかく、且つすばやくあたりに拡散した。それに目を奪われながら、 僕はボディのダメージが消え、力がよみがえってくるのを感じた。
 僕は初めて見るその光景に呆然としていると、彼女が言った。

「どう?これで治ったかな?」

「え・・・?今の・・・何?」

「えっ?知らない?テクニックだよ。」

「てくにっく?」

「う〜ん、何って聞かれると困るなぁ。そうだねぇ、おまじないだよ。 今のはねぇ、回復テクニックの『レスタ』っていうの。レベルまだ低いから、 あなたにも効くかどうか心配だったんだけどね。」

「おまじないか・・・すごいね!すごいよ!」

「フフフ。ありがとう。」

「ねぇ、それって僕にもできるかな?」

僕は何も知らなかった。

「テクニックを使うアンドロイドは見たことないけど・・・」

「だめなのかな・・・」

「そんなことない、がんばればきっとできるよ!私だって最初は何も覚えられなかったけど、 今はいろいろ使えるようになったもの。ほら!」

すると彼女は手から炎を放った。

「うわ!」

僕は面食らって思わず後ずさった。

「アハハ。ごめんごめん。」

「それもてくにっくなの?」

「そ〜なんです!」

そう答える彼女はまるで元気のかたまりだった。

 「ところでさ、テレパイプ余ってないかな?貸してくれない?」

「街に戻るの?じゃあ、」

彼女がまた手をかざすと、シティにつながるゲートが現れた。

「どうぞ♪」

「なんでもできるんだね〜」

「お金を出したりは出来ないけどね。」

「ハハ、そりゃそうだ。」

 僕はその後、回復アイテムを買いこみ、戻って彼女と一緒に探索をした。
 探索は楽なものではないけど、今回はちょっぴり、楽しかったと思う。
彼女はとても表情が豊かだった。とはいってもヒューマンやニューマンはみんなこうなのかな?

それに引き替え自分は・・・

感情を伝えられる手段が言葉だけなのが、何かもどかしかった。
「ありがとう」・・・僕が繰り返すこの言葉は、繰り返せば繰り返すほどチープになっていく ような気がして、心苦しかった。せめて自分に笑顔があれば・・・
しかし僕の顔はいつも鋼鉄である。
そう、僕は彼女の『レスタ』という不思議な光に助けられっぱなしだった。

 思えば彼女は優しい人だったのだ。
 あれ以来僕は、パーティに所属して探索をする事が多くなった。
 そして、徐々にテクニックに関する知識を広げ、 その過程でアンドロイドには絶対にテクニックが使えないこともわかった。
 彼女は何とも思っていないかもしれない。
 けど、僕は絶対にあの励ましの言葉を忘れない。
 だから望みを捨てずに、もっとテクニックのことを知ろうと思う。
そして、たとえ自分がアンドロイドでも、彼女のような暖かさを持った存在になりたいから、 自分のために、広いパイオニア2の、ラグオルの、いろんな人に会いたい。いろんな所を探索したい。

 今日もロビーで、一緒に行ってくれる人を探そうと思う。
ヒューマンやニューマンでも、

アンドロイドでも、

とにかく、誰かと一緒にラグオルの探索に行きたいのだ。





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