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薫風 暑さ寒さも彼岸までと申しますが、まだまだ寒い日が続いております。 いかがお過ごしでしょうか。 今宵はとてもあなたのことが懐かしく感じられましたので、こうして書き綴っている次第です。お見苦しいとは思いますが、お許し下さい。 さて、私が今思いだしておりましたのは、あなたと過ごした日々のことです。
始まりは、少し風の強い日でしたね。あなたはいかにも精一杯というふうに麦わら帽子を押さえて、不機嫌そうでしたね。湖のほとりを歩こうと誘っても、ますます帽子を強く押さえ込んで、いやいやをして屈んでいました。そこで私は湖に近づいて、両手を広げて、いかにも風を感じているというふうにしてみせました。 最初は呆気にとられた私も、だんだんあなたの意味するところがわかっていきました。そしていつか、冗談っぽく訊ねました。
そして時は流れて、あなたは逝きました。女は男よりも長生きする、と言われている中であなたが先に逝ったのは、もしかしてあなたの願いを叶えるためなのでしょうか。あなたは日差し、雪、雲・・・そういったものに生まれ変わっているのでしょうか。 やって来るその時まで、待たせていただこうと思います。 敬具
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