ひねくれ者



キィ…君の左腕が見えなくなって、ペンダントが揺れ隠れ、君の体が半分になって、細い眼差しが片目になって…

パタン。君の家庭から洩れていた光は、今しがた君の手によって遮られた。でも少し欠けた月の光がとても明るかった。星々の間に雲の姿さえ認められるほどだった。見上げれば七色のプリズムが見えそうで、『絶対に忘れられない夜になるな』と、他人事のように思ったのを覚えている。

それがすれ違いの一端だった。

「もしもし…」

「何だ。」

「寂しくなったから、電話したの。」

絶対に僕にはできない理由で、君は電話をしてきた。たとえ嘘でも、僕には絶対言えない言葉。

「あのっ…ちゃんとご飯食べてる?」

「ああ。」

「ホントに?なんだか元気ないよ。」

切れない絆とでも言ったらいいだろうか、そういったものが君には見えているとでも言うのかい?

「そう?」

「きっと疲れてるんだね。早く寝なきゃ。」

「ああ…」

家族のいる家庭の光なんだろう。信じられる屋根の下の光なんだろう。僕の浴びた月明かりとは違うんだ。僕はなんだか、もう君と僕とでは生きる次元が違うような気さえするよ。

「また明日、会おうね。」

君にとってはリセットでしかないようだ。でも僕にとってはもう one season の終わりだ。

「悪いけど…」

「…何?…何?…」

「僕の心は、君の門の下に置いてきた。」

そう、君を好きな気持ちは、あの門の下にいつまでも…

 さよなら、恋人さん、僕の恋人さん…





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