7月 9, 2013
tronmc

映画:忍者ゾンビ

はじまって一分と経たずに笑える映画というのも、なかなか無いのでは。
のっけからぐだぐだ展開する下手な日本語とやる気のない殺陣に爆笑。この日本語が下手だとわかるだけで、本当に日本人で良かったと思った。

ミュージックビデオのメイキングみたいな画質で展開されるので、なんだか物語映画という気がしない。
序盤はルームシェアのような感じの屋内の生活空間で進むのだが、実際の手頃な物件を使ったのだろう、あまり広くないようだし、カメラも引かないので、絵面は窮屈。そんなところで殺陣もしちゃうのは恐れ入る。
後半は屋外になり、こちらは広いのだが、人やものに対してカメラが引き気味で、間延びした印象だ。

肝心の忍者なゾンビなのだが、ものすごい中途半端(この映画自体中途半端だけどさ)。
ごくごくたまにゾンビらしいアクションもあるのだが、基本的にはゾンビ要素に乏しい。動きは普通の刀、十手、体術を使ったアクション。頭領はキビキビと配下の忍者なゾンビたちに指示を出したりと知能的っぽくもある。
人間が噛まれればゾンビになるという設定は唯一ゾンビらしい部分なのだが、普通に戦っていて噛む気配がないパターンも少なくない。設定的にゾンビなだけ、とも言える。
ゾンビである必要性に乏しいと見るべきか(忍者らしいかと言われればそれも微妙だけれど)、それともよくあるゾンビ像を基準にして考えてしまう自分がおかしいのだろうか…?
いずれにせよ、滑稽どころの話ではなく存在意義が謎。
そういえば、もう一つ。一応顔が腐り崩れているのもゾンビらしいか。しかし、着衣に乱れはなく、頭も忍者装束の頭巾に覆われているので、顔を見て「ゾンビだ!」と思えるところも多くはない。たいして異形の存在だという感じもしないのだ。

むしろ、禁忌の刀を封印するときの主人公の先祖の、ハラキリしながら眼や口から光を出してる様が一番異常。
ついでに封印というのも、地面に刀が乗っている画で、瞬時に地割れが起き、刀がポン、と消えて、即座に地割れが戻るだけ。その間わずか1,2秒。封印が解かれるときもそれが逆になるだけ。タチの悪い手品のような絵面だ。シュールも呆れも通り越して解脱してしまいそうだ。

唯一良かったのは、中盤から主人公と一緒に戦い始める体格のいいB系男子の活躍。とにかく薄っぺらい行動原理で動くキャラが多い中、ゾンビ化する親友をめっためたにして、そんなことしたくなかったと言う様は妙に情に厚く見える。中盤以降主人公と共闘するが、他のメンツは刀や体術でのきれいな、もといきれいにやろうとしているアクションで戦っていく中、銃とバットで飾り気なく豪放に戦うのもクレイジーながら気持ちがいい。
そして何と言っても、終盤ゾンビに噛まれてからの、銃で頭を撃っての自殺。彼自身も周りの人間も逡巡する暇無く、このシーンはさっさと進んでさっさと終わってしまう。こんな話は他に無いんじゃないかという、びっくりするほど淡白なに進むのだが、それが彼の大雑把で豪放なタチにマッチしていて、潔く見えた。
基本的には、どの人物もアメリカらしいユーモアのあるクレイジー感を持っているのだが、それに見合うかっこよさ、洗練された感じがないのが残念なところ。

DVDを出すよりもYoutubeあたりで公開しておくべき一本ではないだろうか。
その方がまだお金になるんじゃないかと思うし、ばりばりの素人ハンドメイド感もいくらかは許容できる……かもしれない。
正直、ゲ○で70円のときのレンタルだし、選んだのもお金出したのも自分じゃないので、ゲラゲラ笑っていられるのだが、フルプライスでDVDを買ったりしていたら、どんな負の感情に支配されるか想像もつかない。
ただし、結果こそ散々だが、映画的表現を志して努力した跡が見られ(良く言い過ぎか?)、いわゆる「いまいち萌えない娘」のようなものと言える。
また、最初から最後まで全てに渡って的確に欠点を挙げ、それを改善する策を持てれば、…あらびっくり。素敵なクリエイターの誕生だわ。
B級ですらないものとはどんなものか?というのを知っておくという貴重な体験ができた。反面教師としては非常に価値のある存在だった。

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